「飢える」と「餓える」の違い。それぞれの意味や使用例を解説します! | コトノハ辞典

「飢える」と「餓える」の違い。それぞれの意味や使用例を解説します!

飢える 漢字
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「飢える」と「餓える」の違い

「飢える」と「餓える」は、どちらも「食べ物がなくてひもじい状態」を表す漢字であり、読み方も同じ「うえる」ですが、実際には使われ方や意味合いに違いがあります。どちらも「空腹」を基盤とした表現である一方で、「飢える」はより広い意味を持ち、感情的・抽象的な飢えにも使われるのが特徴です。一方、「餓える」は主に物理的な飢え、つまり「本当に食べ物がなくて生命の危機に瀕しているような状況」を指して使われることが多いです。

たとえば、「愛に飢える」「刺激に飢える」といった表現は「飢える」のみで使われます。これは、「飢える」が「強く求める」「欠乏を感じて渇望する」といった意味を持っているためです。反対に、「餓死(がし)」という言葉があるように、「餓える」は文字通り「飢餓状態によって命の危険があるほどの空腹」に限定されて使われる傾向があります。

つまり、「飢える」は現実の飢えから比喩的な渇望まで幅広く用いられるのに対し、「餓える」は実際の飢餓状態に特化した表現である、というのが主な違いです。使用場面や文脈によって使い分けが求められる言葉だと言えるでしょう。

それぞれの意味

「飢える」の意味

「飢える」は、食物が不足している状態だけでなく、精神的・感情的な欲求が満たされないことをも意味します。語源的には、古くから「飢渇」や「欠乏」を表す言葉として用いられており、今日では実際の空腹だけでなく、抽象的な欠如にも使われるのが特徴です。

  • 食物が不足して空腹を感じる状態
  • 必要なものが得られず、強く求める気持ちに駆られる状態

たとえば、人は「理解されたい」「愛されたい」という願望が強まったときにも「飢える」という言葉を使って表現します。このように、「飢える」は物理的な不足と、心理的・社会的な渇望の両方に使える柔軟な語と言えるでしょう。

「餓える」の意味

「餓える」は、主に生命維持に関わる深刻な食糧不足の状態を指す語です。「餓死」や「飢餓」といった語にも見られるように、非常に切迫した状況で使われることが多く、比喩的な用法はほとんど見られません。

  • 長時間、食物が得られず、肉体的に極度の空腹に陥ること
  • 栄養が不足した結果、衰弱していくような深刻な飢え

この言葉は、特に飢饉や災害、戦争などの文脈で用いられ、現実的な生命の危機を伴う状態を表すのが特徴です。そのため、「餓える」は感情や比喩的な意味にはほぼ使われず、厳密に食物不足の状態を描写するための語と位置づけられます。

「飢える」と「餓える」の使い方・使用例

「飢える」の使用例

  • 彼は幼い頃、愛情に飢えて育った。
  • 注目されることに飢えた若者たちが、SNSに夢中になっている。
  • 自由に飢えた民衆が立ち上がった。
  • その作家の言葉に飢える読者が世界中にいる。
  • 戦後の日本では、多くの人々が食糧にも希望にも飢えていた。

「餓える」の使用例

  • 山中で遭難した登山者が、数日間餓えていたという。
  • 戦時中、多くの人が餓えて命を落とした。
  • 飢饉の影響で、多くの村人が餓えていた。
  • 野生動物が食べ物を求めて餓える姿が報告された。
  • 難民キャンプでは、多くの子どもたちが日々餓えている。

「飢える」と「餓える」に似た言葉

  • 渇望(かつぼう):何かを強く欲しがること。特に、愛情・成功・認められることなど、精神的・感情的な欲求に対して使われる。
  • 欠乏(けつぼう):必要なものが不足している状態。物資や栄養、情報などの不足を表す際によく使われる。
  • 欲する(ほっする):何かを欲しがる・手に入れたいと願うこと。広い対象に使える言葉で、丁寧な語調。
  • 空腹(くうふく):お腹がすいている状態。単純な身体的空腹感を表す言葉で、日常的に使われる。
  • 渇く(かわく):喉が乾く、または心が何かを強く求めている状態。文字通りの意味と比喩的な意味の両方で使われる。
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