「着服」と「横領」の違い。それぞれの意味や使用例を解説します! | コトノハ辞典

「着服」と「横領」の違い。それぞれの意味や使用例を解説します!

横領-イメージ画像 言葉
スポンサーリンク
スポンサーリンク

「着服」と「横領」の違い

日常的なニュースやビジネスの現場で耳にする「着服」と「横領」という言葉は、どちらもお金や物品を不正に自分のものとする行為を指しています。しかし、法律上および社会的な文脈においては、両者には明確な違いがあります。

まず、「横領」は、他人から預かっている財産を、正当な権限を持たないまま自分のために使ったり、自分の所有物であるかのように扱ったりする行為を意味します。重要なのは、元々は他人の所有物であっても、その管理や保持を任されていたという立場にある点です。つまり、信頼を前提に財産を預かっていた人が、その信頼を裏切って不正を働く場合に「横領」となります。

一方で「着服」は、もう少し広義な意味を持ち、財産を不正に自分のものにする点では「横領」と共通しますが、特に組織内部の人間が業務上取り扱う財産を私的に流用する場合に使われることが多い表現です。たとえば、会社の経理担当者が社内の現金を自分の口座に移すようなケースが「着服」に該当します。法律用語としては「業務上横領罪」にあたることが一般的ですが、日常会話や報道では「着服」と表現されることが多くなっています。

つまり、「横領」が法律上の行為の名称であるのに対し、「着服」はその中でも特に業務上の立場を利用して行われるケースを指す傾向にあります。両者の違いは、財産との関係性や立場、そして使用される場面によって判断されるのです。

それぞれの意味

「着服」の意味

「着服」とは、本来は自分のものではない金品などを、こっそりと、あるいは密かに自分のものにしてしまう行為を指します。日常的には、組織内の人物がその立場や役割を利用して、不正に財産を個人的に取得する場面で使われることが多い言葉です。

法律用語としては明確に定義されているわけではありませんが、「業務上横領罪」や「窃盗罪」に該当するような行為を、報道や一般的な表現では「着服」と呼ぶことがあります。つまり、「着服」という言葉には、職務上得たアクセス権を悪用して、自らの利益のために財産を手にするというニュアンスが含まれています。

「横領」の意味

「横領」は、刑法で定められた犯罪の一つで、他人の財産を預かる立場にある者が、その信頼関係を裏切って財産を自分のものにする行為を指します。

  • 他人の財産を預かっていることが前提
  • 正当な権限がないのに自分のために使用・処分する行為
  • 刑法第252条「横領罪」として規定されている

また、被害者との間に委託や信頼関係があることが特徴であり、その信頼を破って自らのものにしてしまう点が、「窃盗」や「詐欺」と異なるポイントです。業務に関連する立場で行われた場合には、「業務上横領罪」としてさらに重く処罰されることになります。

このように、「着服」と「横領」は似た行為を指しながらも、法律的な定義や社会的な使われ方に違いがあるため、正しく使い分ける必要があります。

「着服」と「横領」の使い方・使用例

「着服」の使用例

  • 社員が会社の売上金を着服していたことが発覚した。
  • 市の職員が福祉予算を着服し、私的に流用していた。
  • 経理担当者による数百万円の着服が問題となっている。
  • 着服の事実を隠すために帳簿を改ざんしていた。
  • 公益団体の募金を着服したとして告発された。

「横領」の使用例

  • 元取締役が顧客から預かった資金を横領していた。
  • 弁護士が依頼人の預かり金を横領したとして逮捕された。
  • 施設長が運営費を横領して私的に使用していたことが判明した。
  • 横領容疑で元職員の自宅が家宅捜索された。
  • 信託財産を勝手に処分した行為が横領にあたるとされた。

「着服」と「横領」に似た言葉

  • 窃盗:他人の所有物を無断で持ち去る行為。対象物に対する占有も所有も持たない者が、他人の財物を意図的に奪うこと。
  • 詐欺:虚偽の情報や言動によって他人を騙し、金銭や物品などの財産的利益を不正に得る行為。被害者が自発的に渡してしまう点が特徴。
  • 背任:委託された業務に反して自己または第三者の利益のために行動し、委託者に損害を与える行為。信頼関係を裏切るという点で横領に似ている。
  • 不正流用:本来の目的や用途に反して資金や物資を私的に使用する行為。違法性の程度は状況により異なるが、公的機関や企業で問題となることが多い。
  • 横流し:本来の流通ルートを外れて、物資や商品を不正に転売・流通させる行為。企業や組織内部で入手したものが対象となることが多い。
タイトルとURLをコピーしました