「拘留」と「勾留」の違い。それぞれの意味や使用例を解説します! | コトノハ辞典

「拘留」と「勾留」の違い。それぞれの意味や使用例を解説します!

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「拘留」と「勾留」の違い

日本語において「拘留(こうりゅう)」と「勾留(こうりゅう)」は、どちらも「人を一定期間、自由にさせない状態にする」という意味合いを持ち、法律の文脈で用いられる言葉です。しかし、これらは意味や適用される場面、法的な位置づけにおいて明確な違いがあります。

「拘留」は、刑罰の一種として科される自由刑のひとつであり、裁判によって有罪判決が下された結果として科せられるものです。つまり、すでに罪を犯したと認定された人物に対して適用される処分です。一方、「勾留」は、まだ裁判で有罪が確定していない段階で、刑事手続きの一環として行われる身柄の拘束を意味します。被疑者や被告人が逃亡したり証拠を隠滅したりするおそれがあると判断された場合に、裁判所の判断に基づいて期間を定めて身体の自由を制限する措置です。

このように、「拘留」と「勾留」はどちらも人の身体の自由を制限する点では共通していますが、「拘留」は刑罰、「勾留」は捜査や裁判の過程で必要とされる一時的な手段という点で根本的に異なります。また、適用される対象やその手続きも大きく異なっており、それぞれの言葉が持つ法的意味を正確に理解することは、法律に関わる情報を正しく読み解くうえで非常に重要です。

それぞれの意味

「拘留」の意味

拘留は、刑法に規定された刑罰の一種です。具体的には、比較的軽微な犯罪に対して科される短期の身体拘束を指します。刑法第16条により、1日以上30日未満の期間、刑事施設に収容されることとされています。これは、刑務所などで服役する「懲役」や「禁錮」と同じく自由刑に分類されるものであり、法的にはすでに刑事責任が確定した者に対して科されるものです。

主に軽犯罪法違反や公安条例違反など、軽度の法令違反に対して適用されることが多く、現在では実務上適用される例は少なくなっています。罰金刑よりも重く、懲役刑よりも軽いという位置づけですが、いずれにせよ「刑罰」として下されるものである点が重要です。

「勾留」の意味

勾留は、刑事訴訟法に基づいて行われる強制処分のひとつで、捜査や公判を円滑に進めるために必要とされる身柄拘束の手段です。これは、被疑者や被告人が逃亡したり証拠を隠滅したりするおそれがあると判断された場合に、裁判所の決定によって実施されます。

勾留の期間は原則として10日間ですが、検察官の請求によってさらに10日間の延長が認められることがあり、最大で20日間まで続けられる可能性があります。また、起訴後も必要に応じて公判中に勾留が継続されることがあります。

  • 刑罰ではなく、刑事手続き上の措置である
  • 裁判所の令状が必要となる
  • 被疑者・被告人の逃亡や証拠隠滅の防止が目的

このように勾留は、まだ裁判で有罪・無罪が確定していない段階で実施される「予防的措置」としての性格が強く、拘留とは性質も適用のタイミングも大きく異なります。

「拘留」と「勾留」の使い方・使用例

「拘留」の使用例

  • 軽犯罪法違反で10日間の拘留刑が言い渡された。
  • 罰金が支払えなかったため、拘留に処された。
  • 拘留は最長で30日までと法律で定められている。
  • 裁判所は被告に対し、7日間の拘留を命じた。
  • 拘留中は外部との連絡が制限されることがある。

「勾留」の使用例

  • 被疑者は証拠隠滅の恐れがあるとして勾留された。
  • 裁判所が勾留を決定し、10日間の拘束が始まった。
  • 勾留延長が認められ、さらに10日間身柄を拘束されることになった。
  • 勾留理由開示請求が弁護人から提出された。
  • 警察は逮捕後、勾留に切り替えて捜査を続けている。

「拘留」と「勾留」に似た言葉

  • 逮捕:犯罪の疑いがある人物の身柄を一時的に拘束すること。原則として裁判所の令状が必要で、最長48時間以内に送検しなければならない。
  • 拘禁:人の身体の自由を奪うことの総称で、拘留や勾留、懲役など、さまざまな自由刑を広く含む概念として使われる。
  • 懲役:刑法上の自由刑で、一定期間刑事施設に収容され、原則として労働を伴う刑罰。有期と無期がある。
  • 禁錮(きんこ):懲役と同様に刑事施設に収容されるが、労働を伴わない自由刑。現在はあまり適用例がない。
  • 保釈:勾留中の被告人が、裁判所の許可を得て保証金を納めることで、身柄の拘束から一時的に解放される制度。
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