「赤ちゃん」と「乳児」の違い
日常生活の中で「赤ちゃん」や「乳児」という言葉を耳にする機会は多くありますが、両者の違いについて正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。これらはどちらも非常に幼い子どもを指す言葉であり、しばしば同じ意味で使われることもありますが、実際にはニュアンスや使われる場面に違いがあります。
まず、「赤ちゃん」は主に口語的・感情的な文脈で用いられる表現です。親しみや愛情を込めて語る場面や、会話の中で柔らかい印象を与えたいときに使われることが多く、年齢の明確な区切りがあるわけではありません。一方、「乳児」という言葉は、法律や医療、行政などの専門的な文脈で使用される傾向があります。こちらは一般に生後0ヶ月から満1歳未満の子どもを指す定義が存在し、年齢によって明確に分類される言葉です。
このように、「赤ちゃん」と「乳児」はどちらも同じような年齢層の子どもを指してはいますが、言葉のもつ性格や使われる場面によって明確な違いがあります。感情や日常会話に根差した「赤ちゃん」、そして制度や記録など客観的な視点からの「乳児」という違いを理解することで、より適切な言葉遣いができるようになります。
それぞれの意味
「赤ちゃん」の意味
「赤ちゃん」は、日本語で幼い子どもを親しみを込めて呼ぶときに使われる言葉です。もともとは「赤子(あかご)」が語源であり、「赤子」に丁寧語の「ちゃん」を付けて柔らかくした表現です。この言葉には年齢による明確な定義は存在せず、主観的な感覚で使われることが多いのが特徴です。一般的には生まれて間もない子どもから、ハイハイを始めたり、少しずつ言葉を覚えたりするくらいの時期までの子どもを指すことが多いです。
また、「赤ちゃん」は単なる年齢だけではなく、その存在に対する可愛らしさや保護すべき対象としてのニュアンスを含んでいるため、家庭や日常会話の中で広く使われています。
「乳児」の意味
「乳児」は、より客観的・制度的な定義を持つ言葉です。厚生労働省や医療機関などの公的機関では、乳児とは「生後0か月から満1歳未満の子ども」と明確に定義されています。つまり、誕生から1歳の誕生日を迎える前までの子どもが「乳児」とされます。
この語の由来は「乳を飲む子」、すなわち母乳やミルクを主な栄養源とする時期の子どもを意味しており、以下のように発育段階に応じてさらに細かく分類されることもあります。
- 新生児:生後0日〜生後28日まで
- 乳児前期:生後1か月〜生後6か月ごろ
- 乳児後期:生後6か月〜1歳未満
「赤ちゃん」と「乳児」の使い方・使用例
「赤ちゃん」の使用例
- 赤ちゃんが泣きやまないときは、抱っこしてあやすと落ち着くことが多い。
- この赤ちゃん服、肌ざわりがよくて人気なんですよ。
- 赤ちゃんの写真をSNSにアップする親が増えている。
- 初めて赤ちゃんを抱いたときの感動は忘れられない。
- 赤ちゃん連れでも入りやすいカフェを探しています。
「乳児」の使用例
- 乳児健診は生後1か月と6か月など、定期的に実施されます。
- 乳児用ミルクの成分について注意深く選ぶ保護者が増えている。
- このワクチンは乳児期に接種が推奨されています。
- 乳児の事故防止には、室内環境の見直しが重要です。
- 統計によると、乳児の夜泣きは生後6か月前後に多く見られます。
「赤ちゃん」と「乳児」に似た言葉
- 新生児:出生後から生後28日未満の子どもを指します。医学的には特に注意が必要な時期とされ、健康管理が重視されます。
- 幼児:満1歳から小学校入学前まで(一般的には6歳未満)の子どもを指します。歩行や言葉の発達が進む時期です。
- 乳幼児:「乳児」と「幼児」を合わせた総称で、0歳からおおよそ6歳未満までの子どもを広く指します。保育や育児支援の場面で使われることが多い言葉です。
- 赤子(あかご):昔ながらの言い方で、生まれて間もない子どもを指します。「赤ちゃん」の語源ともなった表現です。
- 小児:一般には15歳未満の子どもを指しますが、医療の分野では小児科の対象となる年齢層を指すために使われます。